アンドロイドシティ八王子の未来は?

「首都圏情報産業特区・八王子」構想推進協議会(サイバーシルクロード八王子)設立10周年記念講演会
「Android City八王子」を目指して
-ITを活かした新たな産業振興への取り組み-
http://www.cyber-silkroad.jp/2011/10/14/decadekouen/

昨日、標記の講演会と懇親会に参加してきました。
Google社のOS「Android」を活用して八王子市の企業力を強化しよう!という趣旨で、ゲストスピーカとして、元グーグルジャパン社長の村上憲郎氏、米国ベンチャーキャピタルパートナーの校條浩氏、東京工科大学教授の田胡和哉氏、そしてOESF代表理事の三浦雅孝氏が登壇しました。

スピーカの皆様の紹介するオープンイノベーションの「光」の面に、参加された皆さんは大いに勇気付けられたのではないかと思います。オープンソース、フリーライセンスのアンドロイドをプラットフォームとする「エコシステム*」には、いろんなビジネスチャンスが秘められているのは間違いありません。

*直訳すると「生態系」。欧米企業がよく使用する。キー技術とそれを取り巻くアプリケーションが連動して、ビジネスモデルやバリューチェーンが完結している状態と筆者は解釈しています。

しかし、「影」の面に目を向けると、グーグルと大陸系企業の策略にまんまと嵌められているのではないかと勘繰ってしまいます。
たとえば、オープンイノベーションを馬鹿正直に信じてアイデアを発表したはいいが、実際にビジネスにしたのは、それを聞きつけて人海戦術でコーディングした大企業、なんてことも起こりかねません。
技術をオープンにすることが活性化に繋がるのは確かでしょうが、コア技術まで明かしてしまうと、丸裸にされて捨てられるだけです。お気を付けあれ!

オープンの精神に逆行していることは百も承知ですが、各社がお持ちの「コア技術」は安易に明かさないことが、事業で勝つための知財戦略です。公表するのは、少なくとも特許出願を終えてから、というのが私の切なる願いです(その際には、是非当社にご相談を!)。

アンドロイドマーケットの胴元であるグーグル社のコア技術は、検索エンジンとそれに連動した広告提供、そしてマーケティング情報の解析技術にあるのは間違いないでしょう。さすれば、グーグルサイトへと繋がる携帯電話のプラットフォームなど、全部オープンにしても痛くも痒くもないのです。アプリに事業競争力の源泉を頼る企業は、そんなものに釣られて踊らされてはなりません。

アンドロイドで継続的な事業の成長をお考えの方は、ご自身のコア技術を十分に認識した上で、オープンにするところと、クローズにするところを、しっかり切り分けるようにすることです。
グーグルに隷属するのではなく、いつか対等に張り合ってやろうという気概を持って。

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