情報漏洩と人材流出

本日は、東京大学工学系究科技術経営戦略学専攻(TMI)の「企業価値と知的財産」の講義および演習にゲストTAとして参加しました。

秘密情報を知得した従業員が退職したときに、コンペティターへの転職等により秘密情報が漏れないようにするための方策を検討するというものです。

ベーシックなところでは、退職時に秘密保持契約を結ぶ、退職後に競合他社への転職や競合プロジェクトの担当になることを制限すること(競業避止義務)を果たすというものがありますが、それらの制限は「合理的範囲」に制限されることに留意する必要があります。
また、不正競争防止法違反(営業秘密の不正利用)を論拠とする差止請求もあります。これも営業秘密を管理していてこそ成立します。
仮に情報漏洩があった場合には、秘密保持義務違反の債務不履行よりも、不正競争防止法違反の違法行為で訴える方が、差止請求が認められやすいそうです。

本日の議論では、上記はもとより、知財法務に凝り固まった頭からは生まれないようなクリエイティブな発想(ネタバレ防止のためにここには書きません)が学生の皆様から出てきました。さすが日本の最高学府(ただし、留学生比率高し)です。

しかし、人材流出による情報漏洩に対して経営者にできる最高の防止措置は、人材流出が起こらない程の忠誠心が従業員に根付くような経営を継続することなのではないでしょうか。尤も、業種によっては転職によってしかキャリアアップできないこともあり、日本の企業すべてに望むのは酷な話だとは思いますが。

 

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