弁理士は金の草鞋を履いて探せ

この表題は、消しゴムメーカーであるシード株式会社の西岡社長(当時)がおっしゃった言葉です。決して、弁理士費用にに糸目を付けるなというわけではなく、理想の弁理士に巡り合うまで大変だということです。

大阪にあるこの会社は従業員約80名のいわゆる中小企業ですが、修正テープの基本特許を取得しただけでなく、名だたる大手文具メーカーの新規参入を大幅に遅らせ、大手メーカー参入後も対等にわたり合えるだけの強力な知財ポートフォリオを形成しています(詳しくはこちらの記事を参照)。

このような知財経営の実践は、まさしく事業・研究開発・知財の三位一体で行われているのですが、最も苦労したことの一つに、自社の事業を深く理解し、自社事業戦略に合わせた知的財産戦略の活動をしてくれる弁理士さんに巡り合うことだったそうです。それを端的に表す言葉が「弁理士は金の草鞋を履いて探せ」でした。

中小企業経営者の方には、知財経営の意識があっても、なかなか手が回らないという方が多くいらっしゃいます。というか、ほとんどの方がそうでしょう。
そこで、知財の専門家である弁理士さんに助けを求めたくなるのですが、弁理士さんの中で事業を経験された方というのは少数派ですし、知財戦略を実践しろといっても、出願・権利化に特化してきた特許事務所にはかなり酷な話でしょう。はじめから知財経営を丸投げできる弁理士さんなんて身近にいると思わない方がいいでしょう。

西岡社長は「探せ」と表現されましたが、これは喩えであって、実践の中で弁理士さんに事業戦略のセンスを持つように「育てて」いかれたのが真実ではないかと思います。
出し惜しみすることなく自社の事業戦略や事業環境を伝え、事業で勝つためにはどのような権利形成が望ましいかを考えた上で、特許出願に臨み、検証していくサイクルを回していったのではないでしょうか。

弊社も上記の言葉を胸に、優秀な弁理士さんをマッチングするだけでなく、事業戦略に合わせた知財戦略の実践までフォローし、共に成長していきたいと思います。

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