パテント・コンテスト

6月30日、7月7日、8月10日の3日間にわたって、サレジオ工業高等専門学校で知的財産の講義と演習を実施いたしました。
工業所有権情報・研修館(INPIT)が主催する「パテント・コンテスト」にエントリーすることをゴールとして、まずは知財の基礎を学び、そして、創造したアイデアを整理し、発明として発明提出書にまとめ上げることを体験していただきました。生き生きとワークに取り組まれた生徒の皆さんお疲れ様でした。

Hisilicon K3

元エンジニアであるご担当の先生の想いとしては、ものづくり先行で走ってしまう生徒たちに、アイデアを発明提出書にまとめるプロセスを通じて、自身のアイデアを客観的に見つめ、残していくことの大事さを認識してもらおうというものでした。
3日間の講義を終えた時点では、パテント・コンテストよりも、知的財産管理技能検定3級への関心が高かったというのはご愛嬌ですが、まずは1年目として、継続して取り組んで欲しいと思います。

今回、はじめて関わることになったパテント・コンテスト、表彰者への特典が、タダで特許出願でき、登録料まで出して貰えるというものですが、ここで沸々と疑問が湧いてきます。講義の中では、「企業では事業を守るために特許を取得している」などと講釈しているのですが、パテント・コンテストにおける、ご褒美の特許出願の位置付けが判然としません。INPITサイドとしては、表彰者が特許を取得したことで、広報の目的は達せられるわけですが、当の発明者たちもその目的に乗るというのは、貴重な学習機会を無駄遣いしているような気がしてなりません。

「いいものが出来たので特許でも取っておいて、誰か奇特な人に商品化してもらおう。」なんて前時代的な指導を彼らにはしたくありません。「事業独占」「提携」「プロモーション」といった、メリハリの効いた特許取得をやってみて、その効果もしっかり体験してこそ、次代を担う人材の育成につながるのではないかと思います。「事業化」なんて目標を立てようものなら、特許出願の1000倍ぐらい大変な経験ができるのですから、大人たちも本気でフォローしなくては。

私は弁理士ではないので、彼らが表彰されても、特許出願や権利化のフォローアップには関与できそうにないのですが、弁理士の先生たちが「今回はこういう戦略で権利化しよう」といったフォローをしてくれるものと信じています。特許取得そのものを目的化するような指導だけはしないで欲しいと切に願います。

平成28年度パテントコンテストの詳細はこちら
http://www.inpit.go.jp/jinzai/contest/patent/28_patent_contest.html

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